メキシコペソの魅力とリスク

メキシコペソは、近年注目度が増している通貨の一つです。その理由は、高金利通貨であり、資源国通貨としての特性を持つことにあります。特に、インフレ懸念が強まる中で、多くの投資家にとって魅力的な選択肢となっています。

メキシコの資源国としての位置づけ

メキシコは、世界有数の原油埋蔵量を誇る国であり、メキシコ湾に面した産油国でもあります。そのため、原油価格の動向がメキシコペソの相場に直接的な影響を与えます。例えば、メキシコ湾にハリケーンが来襲し、製油所が被害を受けると、原油供給が減少し、結果としてメキシコペソの相場が変動することがあります。2022年には、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の上昇が、メキシコペソの上昇要因となりました。

米国経済との密接な関係

メキシコペソの相場は、米国経済の影響を非常に受けやすい特徴があります。1994年に発効したNAFTA(北米自由貿易協定)以降、メキシコと米国の経済関係はさらに強まりました。これにより、米国の景気が好調であると、メキシコの景気も連動して良くなる傾向があります。なお、NAFTAは再交渉を経て、2020年7月1日から「メキシコ、米国、カナダ協定(T-MEC)」として発効しています。

メキシコ中央銀行の金融政策

メキシコペソの相場に影響を与えるもう一つの要因として、メキシコ中央銀行(BOM)の金融政策が挙げられます。BOMはインフレ目標を掲げており、前年比で消費者物価指数(CPI)上昇率を+3%(許容範囲として上下1%)に維持することを目指しています。

変動相場制への移行とリスク

メキシコは1993年1月にデノミネーションを実施し、新ペソを導入しました。そして、1996年8月には変動相場制に移行しています。しかし、メキシコの経済基盤は依然として脆弱であり、政治的・社会的な問題も多く抱えています。このため、メキシコペソの相場は大きく変動しやすく、十分なリスク管理が求められます。

メキシコペソは、その高金利と資源国としての特性から、投資対象として魅力的ですが、リスクも伴うことを忘れてはなりません。投資を検討する際は、これらの要因を十分に考慮し、慎重に判断することが重要です。

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